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そう話す木戸先生はとってもいい笑顔で、私もそのお手伝いが出来ることを嬉しく思った。
「一緒にいいもの造ろう」
「はい」
もしも先輩が産休に入らなければ、私はこのプロジェクトに参加することはなくて、こうやって木戸先生と一緒に夕日を眺めることもなかった。
少しの間2人で佇んでいたけど、何かを閃いた木戸先生は腕組みしたり頭を掻いたりしながら敷地の中をうろうろし始めた。
もうインスピレーションが湧いてきたのだろうか、何か独り言を呟いている。
こういうときはそっとしておくに限る。
やっぱりこの先生は変わった人だ、と再認識しながらまた視線を海に戻した。
遠くで船が行き交うその様子を眺めていたら、背後で車のエンジン音。
バタンとドアを閉める音に振り返れば、硬い表情の荒木課長。
「お疲れ様です」
そういえば、後から来るって言っていたような。
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