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自分の席につくなり、”荒木課長が呼んでいる”とパソコンのふちにメモが。
せっかく気持ちを切り替えてきたのに、お説教は勘弁して欲しい。
綺麗な顔を間近で見られるのは嬉しいけど、今は楽しめる気分じゃない。
チラリと視線を送っても、荒木課長は澄ました顔で書類に目を通していて、後回しにしようかななんて思ったところで目があってしまった。
真剣な表情が美しいと見惚れていたのがバレたのかしら?
のんきに考えていたけど、荒木課長の眉間に一瞬シワを見つけ、慌てて駆け寄った。
「お呼びでしょうか」
歯が痛いことはこの際仕方がない、後回しだ。
姿勢を正して目の前に立つ。
書類をキリのいいところまで読み終えたらしい課長が、シルバーフレームのメガネを外して目頭を押さえた。
何故か私は男性のこの仕草が好きだったりする。
出来る男の一瞬の隙を垣間見たような。
もちろん出来る男で、それなりに美しい人限定だけど。
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