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まだ簡単には吹っ切れないだろうけど、さっきみたいに静香さんでいっぱいになっていた心の中に、少しは空間が空いたような気がする。
「でも静香さん、今は幸せそうでしたね」
もしかしたら、それは課長にとっても喜ばしいことかもしれない。
いろいろあった相手だけど、今は幸せになっているのだから。
「あぁ、そうだな」
それはホッとしたという雰囲気で。
「また行きましょうね」
お料理も雰囲気もとっても気に入ったから、そう言ってみたんだけど、課長は一瞬ピクッと眉を寄せてから、仕方ないなって笑ってくれた。
このまま少しずつ2人のわだかまりがなくなって、課長がもう少し自由になってくれたら、憧れが恋に変わる? なんて1人で妄想してみたり。
「顔がにやけてるぞ」
いけないいけない、1人の世界に入ってしまった。
「またあのパエリヤが食べたいなって……」
「本当に変わった奴だな」
今はそういう認識でもいいんだ。
少しずつ課長と私の距離が近づいていけば……。
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