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暗い部屋に慣れていた目は、
太陽の光に眩み、
私は目を細めた。
少し高い光景。
今いる状況を確認するため
靴を履き、玄関から出た。
バタン、と。
扉が音をたてて閉まった時、
私はその場に立ち尽くしていた。
マンションの廊下、
それが私の今いる
場所なのだが……
血みどろの人が一人と
大量の血が廊下を色付けて
いた。
血みどろの人、と
比喩したが、
床に倒れている、その人の
頭や腕、足から流れ出る
血のせいで血溜まりが
出来て、その中に入って
しまっている、と言うのが
正解であろう。
その人は斬られたような
跡が身体中に残っていて、
動く気配も全くない。
言わば死人だろう。
ここまで説明したが、
私がそこまで冷静かというと、
そうでもない。
現実なら殺人事件だ。
私は周りを見渡す。
高い光景、と先程言ったが、
ここはマンションの2階の
ようだ。
周りにも何軒かマンション
らしいものが連立している。
遠目から見る範囲でだが
血痕のようなものも
ところどころ見えた。
状況は異常なのだ。
殺人……そう括るのは
いささか間違いかもしれない。
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