5人が本棚に入れています
本棚に追加
今の異常な状況に
ついていけないのか、
私は悲鳴をあげることは
なかった。
ただ、身体が強張り、
動くことも出来ない状況でも
ある。
今がマンションの2階
なのだが、
地上へと降りるための
階段は一カ所しかなく、
そこに向かう通路の
進行上には死体が
横たわっている。
つまり階段に向かうためには
死体の横を抜けなくては
ならないのだ。
私は震える身体に
鞭打って、前へと足を
踏み出した。
目をほぼ閉じて、
死体が過ぎるまで、とばかりに
走り始める。
ピチャという
水溜まりに入った感覚の直後、
グニャリと嫌な感触が
足に伝わった。
身体がぐらつくと同時に、
慣性が働き、私は前へと
倒れ込んだ。
ビチャ!
頬に生温い液体が
飛び散り、強い不快感が
込み上げてくる。
薄目を開けると
血溜まりが文字通り
目の前にあった。
最初のコメントを投稿しよう!