絶望の目覚め

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薄暗い視界。 僅かに痛む頭を 押さえながら、私は起きた。 今、私の視界に入る 光源は窓から差し込む、 日の光だ。 夕方なのか、朝なのか、 私には判断出来なかったが、 強いオレンジ色が目に映った。 光を目に受けてから 少しずつ頭が働いてきたようだ。 周りを見渡す。 どうやら部屋のようだ。 ベッドや机、テレビ、 食器棚等、いろんなものが ある。 どうやら一人暮らしの家、 みたいな風景だ。 ただ机の上に放置されている “あれ”を除いて。 私は見間違えかと思い 目を擦ったが、何も変化は 起きなかった。 私は今いる、ベッドから 下りて、それが置かれている 小さな机まで数歩歩いた。 それは、どこか懐かしく、 それでいて身に覚えの ないものだった。 現実から離れていく気がして 私はそれを見るのをやめた。 ふと思い立ち、 冷蔵庫へと歩を進める。 ――私は誰なんだろう―― ふと考えが過ぎり、 苦い表情を浮かべたまま 私は冷蔵庫に手をかけた。
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