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何故、冷蔵庫へ向かったか。
それは急に喉の渇きに
気づいたからだ。
開いた冷蔵庫の
中には一枚の紙と
腐った食べ物が
入っていた。
電源が入っていなかったようで
中は腐った食べ物の
臭いでいっぱいだった。
私は嫌な臭いに若干、
引きながらもその紙に
手を伸ばす。
『“早めに食べてね。”』
紙にはそう書かれていた。
名前等はなく、
誰が書いたのかも
わからない。
私は紙を冷蔵庫の上に置き、
そっと冷蔵庫を閉めた。
それから私はキッチンの
蛇口に目を向けた。
すぐに近寄り、蛇口に
手を伸ばす。
ゆっくり捻ると
水は比例して流れ始めた。
私はホッとして
コップを探す。
そういえば食器棚があったはず。
そう思い、私は蛇口を捻り、
水を止めた。
バシャ……
食器棚に向けて、
歩こうとした私は
その水音に気づき、
足を止めた。
風呂場からのようだ。
ユニットバスだろうか?
開けていない扉は
玄関とその扉しかない。
「誰か……いるの?」
私は僅かに聞こえる
水音の源に対し、
声をあげる。
大きな反応は無かったが
水音が少しだけ大きくなった。
私は不安になりつつも、
風呂場と思われる扉に
手を伸ばす。
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