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言葉でのみの強制力のない
監禁みたいだった。
監禁だったりして……
いや、ここにある
拳銃がそうでないことを
示している。
私は嫌々拳銃を持ち、
五発の弾を込める。
不思議と慣れていたが
記憶を失う前に
拳銃に触れていたのだと
解釈する。
人の感覚は記憶より
恐ろしいものだ。
弾を込め終えた拳銃を
再び机に置く。
化け物なんて
実際見たわけじゃないから
信じようがなかったが、
永田の焦った声を聞く
限り、
あまり良くない状況には
変わりなかった。
時間が経つのを待つしか
私にはないようだ。
それで状況が変わるのなら――
結果は常に良い方向へ
傾くとは限らない。
それが物語であろうと
現実であろうと。
否、物語は現実に
近くなくてはならない。
それが現実の如くでないと
ならないのだ。
私は未来の私を先に知る
ことはない。
それは“私”も同じである。
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