第三章 捜索者のつながり

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   しかも、あの独特の声とイントネーションで。  桐谷の中で、先ほどの声が蘇る。  無機質な声が、彼を馬鹿にしているようにさえ思えてきた。  桐谷の中に、怒りの感情が芽生えてきた。だが彼は、それを露わにしたりはしなかった。  だが、完全に抑えきれていない。  こめかみの痙攣。  握りしめた拳の血管。  固く閉じられた唇。  それを見た直属の部下たちは、爆発寸前の桐谷だろうと判断し、無意識に顔色を伺っていた。  そして、身構える。  滅多にある事では無い、桐谷の怒号に備えていた。 「すまん、取り乱しそうになった」 「本部長……」
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