第一章 酒口の凶行

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   見るからに人相の悪い男が、人の良さそうな青年の胸ぐらを掴み、今にも殴りかかりそうな状態。  松本の制止も聞かず、男は青年の顔を殴りつけた。  傷害の現行犯。  酒口と松本は、暴れる男を取り押さえ現行犯逮捕する。男は、相手が警察とわかると、急に大人しくなり、素直に警察車両へと乗り込んだ。  そこへ、近所の交番から警官が駆け付ける。  松本は、男が通報の暴れていた男かもしれないと判断し、逮捕した男を北署に連行する事にした。被害者男性の聴取は、駆け付けた警官に任せる事にして。  北署への道中、男は口を開かなかった。  そして、署に帰り持ち物を調べたところ、財布から運転免許証が出てきて身元が判明する。  久坂 徳雄 三十五歳。  障害事件を起こしたものの、ナイフなどの凶器は所持していなかった。 「じゃあ、酒口くん。彼を取調室にお願い」 「はい、松本さん」 「よう、酒口。また、ラッキーで犯人逮捕か?」
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