第一章 酒口の凶行

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   北方係長に冷やかされ、酒口は久坂を取調室へと連れて行く。  酒口とは、幸運だけで刑事となった男。  今回のように、偶発的な事件の発生に居合わせ逮捕した事で、交番勤務から刑事へと昇進したのだ。  北方は、それを揶揄したのだ。  そして、酒口が久坂を連れて取調室に入って、五分と経たずに別の騒動が千葉北署に発生する。  正面玄関前で、連続した爆発音が響き渡った。  それは、二階の刑事課まで響いた。 「おいっ、矢次。今の何だっ」 「爆発音でしたよね」  まさか 警察署を、爆破しようなどと思う者などいない。そう思いながらも、耳に届いた爆発音に北方と矢次のみならず、一同が刑事課を飛び出していく。  職員の大半が、正面玄関前に集まった。 「何だよ、爆竹かよ」  署員の一人が、その痕跡を見てそう言った事で爆発物が判明した。
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