プロローグ

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   そしてその内容から、部屋の主の人物像を伺い知る事もできない。  デスクトップパソコンの傍には、最新のスクラップブックが開いて置いてある。  その内容は、経済新聞から切り抜いた、成長企業の記事や政治関係の記事が貼られていた。  部屋の主は、何かを調べている。  それだけは明確ながら、部屋には生活感など欠片も無い。  部屋に、人陰はない。  男なのか女なのか。  年長者なのか若者なのか。  それすらも、部屋の様子から判断するのは難しい。そこで生活しているというより、生活の場は別にあり、ここで何かの調査か捜索をしているようにも思える。  1DKのアパートの部屋。  ただ、キッチンを見てみると食器やグラスなど、生活の証は一応だが揃っている。  赤い柄の歯ブラシも洗面台にある。  やはり、この部屋は生活の場なのか。  そこに、部屋の主が姿を見せる。
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