評価

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 さて一方、 看過の許されざる視点がいま一つある。言うまでもなかろう、 作品の質だ。  一般に作品の評価が下される場合、それは作品自体の質を問うた上でされる、として相違あるまい。 ここでは「書籍化可能性」を指標とする以上、商業・経済的基準に重きを置かざるを得ない。実際評者は恣意性に堕すまいと自戒しより公正な評価を下すべく心掛けた上で、注意深く意識的に重視する。 が、如何に重視するといえどこれも無論、「作品『それ自体(*10)』」への分析・評価が大前提とされなければ、不可能だ。  そこで「作品『それ自体』」の品質を測るために、商業・経済的基準とは別個の依拠すべき基準を採用せねばならない。それは何か。即ち、 芸術(*11)・美(*12)的基準である。  では、評者に、 商業・経済的基準を度外視した上で改めて、芸術・美的基準に依る評価を下すことは、できるか。 文芸という芸術分野に疎く、また文芸の読書経験が貧弱だと公言する、かよう評者が、 自らの趣味・嗜好や視座/立場に囚われず、かつ自らの美意識/美学に導かれつつも客観的基準に依拠した、分析・評価を為すことは、可能か。 可能だ。 何故なら、
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