第一話 雨の散歩道

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カメラマンには、すぐ会うことができた。 水は機械に良くない。 そのため、雨の日にカメラを持ち歩く人をみつけるのは、簡単だった。 青いレインコートを着た中年の男。 カメラマンの正体だ。 男は都心にあるレタス畑にレンズを向けていた。 花が咲いているわけでもない。美しい蝶がいるわけでもない。 ただのレタスを次々と撮影していた。 「すみません」 優は思わず声をかけた。 男はゆっくりと振り返り軽くお辞儀をする。
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