第3霊:僅かな現実味、極度な異常さ

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__________ _______ 最近では小学生や中学生の段階から親と離れて暮らしているという割合が急増している傾向にある。 というのも、その大半は親の意志によるもので、「子供には東京という都会で知性を営んでほしい」という何とも傲慢極まりないものが原因だったりする。 そんなわけで、東京都内には学生寮専用の安全地区までもが製造され、いわば1つの学生街として機能しているそこは“教養の地区”と称されているほどだ。 今を生きる中学生、鈴梨 仄もまた“教養の地区”にある学生寮に住む学生の1人である。   彼女が学生寮に住んでいるのは両親が揃いも揃って外国で働いているからという非常にグローバルな理由がある。 なので、半ば親の命令で都会に進出してきたという状態の学生たちとは、ちょっと違うパターンの学生寮利用者、鈴梨 仄はついさっき帰宅(家ではないから帰寮?)したばかりである。 「ただいま~」 部屋に入るなり、そう言ったのは別にホームシックとかからきた影響とかではない。 というのも彼女が暮らしている学生寮……もとい“教養の地区”では男女別々は当然のことだが、それに加え一室に2人ペアとなって寝食をともにするという謎の制度がある。 理由は「競いあえるライバルがいれば、より一層勉強に精がでるから」らしい。  
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