第3霊:僅かな現実味、極度な異常さ

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「また練習?」 髪の毛を乾かし終えた粟実は二つあるベッドの一つに座り込みながら、そう質問した。 鈴梨は持っていたジュースを一本、ベッドに座り込んでいるルームメイトに投げ渡してから、質問に答えるべく心地よい冷気を放つ冷蔵庫を閉じて、もう一つのベッドに座る。 「宿題はもう終わっちゃったし、家でゴロゴロしてるのは勿体ないからね」 「いやいや、私が質問してるのはテニスの練習のことじゃないって。そもそも仄ちゃんにとったら習慣みたいなものだし今更聞くことでもないよ」 「Why?」 「私が聞きたいのは、また菅原先輩となのかいってこと」 粟実がサラリと言った一言に、鈴梨はゴバハァ!!と凄まじい息を噴き出す。 その壮絶なリアクションに、ルームメイトは眉をひそめ、 「……その反応は異性だったらドン引きするよ?」 「なっ、ななななななんなんなんな何で、そんな事を…………ッ!?」 「意中の相手が高校生だから、なかなか会えないからとはいえ折角の夏休みを汗クサスポコン三昧に仕立て上げるのは流石にダメじゃない?」 「ちょ、違う!私は別にアイツの事なんか何とも思って……っ」 慌てふためく鈴梨を眠そうな瞳で見ている粟実は、ハイハイとなだめる。
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