第3霊:僅かな現実味、極度な異常さ

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「とはいえ、仄ちゃんってば意中の人が相手となると極端に奥手になるよね」    「アイツを意識しているという前提を撤回しろっ!」 ギャアギャア喚く鈴梨を尻目に、粟実は涼しげにジュースを飲んでは会話に参加している。 「そもそも呼び出す理由が練習ってどうなの?いつかは呆れられて口すら利かない関係になっちゃうよ?」   粟実の何だか急に現実味を与える発言内容に、思わず背筋をピンと張ってしまう鈴梨。 「だ、だって……アイツとはそれくらいしか趣味が合わないわけだし……」 「でも菅原先輩って高校はテニスやってないんでしょ?ならその前提すら間違えてるんじゃない?」 それにいくら趣味だとはいえ、休みもなく無限ループ状態で行えば、いくら何でも飽きが回ってくるだろう。 大体、趣味というのは気分を変えるために行うものなのであって日に何時間もやるものではない(個人差はあるが)。 「いっそのことデートにでも誘っちゃえば?ホラ、最近できたカントラルビルとかさ」   「な、何でアイツとショッピング何かしないといけないのよ!?」  それに誘うきっかけもないし……と呟く彼女は、あることに気づく。
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