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決して少ない数ではなかった。
いや、それ以上に自分がそれだけの割合の中で今日まで何もなかったのが不思議とさえ思えた。
もしかしたら、僕の周りの人の中で誰かしらが被害にあっていたのかもしれない。
そういった嫌な予想まで頭をよぎる。
「安心してよ」
不才の低い声が僕の意識を呼び戻す。
「僕たちは、被害を生み出さないために奴らが手を出す前に早急な対処をしてきた。だから実際のところ被害者っていうのは君が初めてかもしれない」
そういう面においてはラッキーだったかもね。という不才に、僕はそんなわけあるかという意を込めた冷たい視線を送る。
「どこがラッキーだ。アンタの幸せ基準が分からないよ」
「幸せだろうさ。この世界の裏側を知ることができる“チケット”をてにいれることができたんだから」
「裏側……だって?」
僕の困ったような反応に、しかし不才は楽しげに口元を歪める。
「それじゃあ、そろそろ始めようか菅原少年」
手に持っていたミネラルウォーターの入ったペットボトルを置いて、会話を始めようとする。
俗に言う本題を。
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