恋した瞬間

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第一会議室で前島さんと 向き合って早速打ち合わせを始める。 前島さんが聞いて来た クライアントの希望を 早速彼女は俺に伝えて来た。 「クライアントのご希望をまとめると アジアンテイストの中にも アンティークなイメージを 組みこんだクラシカルなリビングと モダンな中にもエキゾチックな 雰囲気の寝室って事なんだと思います」 箇条書きにしたクライアントの言葉を 俺に見せながらそれを的確に捉え うまくまとめて俺に伝えられた 彼女の言葉にちょっと感動。 まだ実績もない新人なのに まるで何年もこの仕事を して来たかのようで。 …なかなかやるじゃんこの子。 そう思いながら 彼女に言われたイメージを さくっとスケッチブックに起こす。 「こんな感じでいいのかな?」 俺の描いたデザインを見て しばし沈黙した彼女は じっと俺を見つめる。 「ん?イメージ違う?」 首を傾げた俺に彼女は コクンと小さく頷いて… リビングのテーブルを指差した。 「このテーブル… どうしても四角じゃないと だめなんでしょうか?」 「はっ?」 「あの…これは私と小野さんの 感性の違いかも知れないですが… 私はこのテーブルは円形にした方が イメージに合うと思います」
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