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「プランニングを
担当させて頂きます、
前島香織と申します。
よろしくお願い致します」
深々と俺に頭を下げた彼女は
この春から中途入社でプランニング課に
配属された俺より2つ年下の女。
冬木部長から押し付けられた
新人だけに無下にも出来なくて
一応営業スマイルで微笑みかける。
「うん、よろしくね。
じゃあ打ち合わせ行こうか」
「はい!」
嬉しそうに微笑む彼女の笑顔が
なんだかやけに眩しくて
思わず目を細めた。
フッ…結構可愛いじゃんコイツ。
だけどこの時の俺は一応
付き合ってる女もいたし
前島香織はあくまでも
会社の後輩。
その程度にしか思ってなかった。
色白でなかなかの美人の彼女には
すでにデザイナーの間でも
ファンクラブが
出来上がりつつあるけれど
俺、年下には興味ないし。
会議室に向かう俺の後ろを
必死に追いかけて来る彼女は
なんだか仔犬みたいで可愛らしいけど
特別な感情なんてなかった。
この案件で
彼女とパートナーを
組むまでは…
こんなにも己を
見失ってしまう事になるなんて
思いもしなかったんだ…。
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