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そのあまりに無防備な仕草に肩を竦め、零斗は拭き終えたティッシュをごみ箱に放り込む為少し身を引いた。
「夏休みのことなんだけど」
「うん?」
零斗のわずかな感情の揺れに気付かず、のぞみはそのまま続ける。
「考えたんだけど、やっぱりお邪魔してもいい?」
「……いいの?」
「うん、どうしようって思って不安だったんだけど、やっぱり、その……」
のぞみは話しながら恥ずかしくなってきたのか、両手の親指と人差し指で意味なくトライアングルを作りながら俯いた。
「その……ちゃんと、したいなって。せっかく零斗さんが言ってくれたんだし……」
零斗が数日前にのぞみに申し入れたのは、夏休みの帰省に関することだった。
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