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のぞみはベッドに縋りつくようにしながら携帯のホームボタンを押し、溜め息をついた。
すると、それまで聞き流していたテレビがニュース番組になっている。
携帯で鬼首哭を検索することに夢中になっていた為、夕方のバラエティが終了していたことに気付かなかった。
ニュースなど見ても、胸が悪くなることばかりだ。消してしまえ、とのぞみが口を尖らせながらリモコンに手を伸ばした瞬間のことだった。
どこかのビルを映し出していたカメラがガタガタと動いた。生放送でどこかの現場を流しているようだ。
緊迫した空気は、ただごとではないようだった。
リアルタイムで何が起きているのかくらい知っていてもいいか……とのぞみは真剣にスクリーンを見つめた。
『動きがありました! 屋上の男性が、柵を乗り越えたようです!』
「え?」
バタバタと、レポーターとカメラが走っていく。
ひどく揺れる画面が、予定調和ではないことを示していた。
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