2013年 初夏 【日嗣のぞみ】

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   ニュースで凄惨な事件があった場所、というのは見たくなくてもよく見かけるものだ。だが、生番組の真っ最中に現場に急行……というのはあまりない。  あったとしても、「後ほどお伝えいたします」と濁されるのが常ではないのか。  髪を振り乱して走っていくレポーターの男性の後ろ姿を、カメラは必死に追っていた。 「……っ」  ガタガタ、と機材の揺れる音がして、カメラは見るものに何も気を遣っていない様子でグルリ、と風景を仰いだ。  のぞみは固唾を呑んでその光景を見つめる。  その瞬間、能天気な音楽が携帯から鳴った。  ビクンと飛び上がりそうになってしまった。今の一瞬でニュースに集中しきってしまっていたようだ。 「もしもし」 『のぞみ?』 「零斗さん!」  確認もせずに出たものだからホッと胸を撫で下ろし、のぞみは携帯を耳元に当てたまま、またテレビの画面をチラッと見た。 『のぞみ、今テレビ見てる?』 .
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