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人間は緊張しすぎると、一瞬前のことすら思い出せなくなるものなのか。
口を押さえ、のぞみは落ち着く為ハー……と長い息を吐いた。
すると、テレビ画面から砂嵐が消え、“しばらくお待ち下さい”というメッセージに切り替えられた。
『テレビ局の人……すごい判断だったね、今の』
「う、うん……」
一瞬で非日常に塗り潰された意識はまだぼうっとして、現実感がなかった。
『のぞみ? 大丈夫?』
「あ、うん。大丈夫。ごめんなさい」
『変なタイミングで電話してごめん、でももし見てたら怖い思いをしてるんじゃないかと……』
優しい零斗の声を聞きながら、のぞみはだんだん冷静さを取り戻していく自分に気付き、もう一度溜め息をついた。
「うん、ちょっと怖かった。ひとりで見てたら大変だったかも……」
『……なんて言って、俺がぞっとしたんだったりして』
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