2013年 初夏 【日嗣のぞみ】

20/35
前へ
/35ページ
次へ
  「零斗さん、やめよ。ちょっときついよ。今の……」 『……ああ、うん』  零斗も同じ心境だったようで、沈んだ声で息をついている。 『のぞみ、迎えに行くよ。今から、会わないか?』 「え?」 『食事、まだなんだ。今のニュースのあとじゃ、食欲湧かないかも知れないけど……付き合ってくれると、嬉しいな』  言われて、のぞみは自分の空腹感に気付いた。そういえば、空腹を感じて携帯の操作を中断した気がする。  確かに今のニュースは胸を悪くするものではあったが、軽いものなら入れられるのではないか、と思った。 「うん、行く。あたしもごはん、まだだったの」 『そっか。よかった。30分くらいで行くから、考えておいて』 「うん!」  電話を切ってから、のぞみはふと気付いた。 .
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加