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初めて出会った瞬間、のぞみは自分の心臓がズクン……と揺れるのが判った。
半ば不整脈のようなその動悸は、零斗と顔を合わせる度繰り返された。
だんだん加速していく恋心に、のぞみが少しずつ耐え切れなくなり始めた頃、決定打となる出来事が起きた。
満員電車の中で、のぞみが痴漢に遭ったのだ。
偶然同じ時刻、同じ車両に乗り合わせた零斗がのぞみに気付き、声をかけようとした瞬間、彼女が泣きそうになっていることに気付いた。
しばらく様子を窺っていた零斗は、のぞみが痴漢に遭っていることに気付き、犯人を取り押さえた。
安心して泣き出したのぞみを零斗が宥めているうち、どちらからともなく互いが互いを憎からず想っている……ということが判ったのだ。言葉や態度の、端々で。
ともすれば思い過ごしに終わるような相手の些細な言動を、のぞみと零斗は何故か疑うことすら思いつかない程自然に受け入れた。
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