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思春期の頃、時間をかけて睡眠時間が短くなっていった。
睡眠障害に分類されるというが、隼人は過不足を何も感じていなかった。
他の人間に比べて動ける時間が多い分、得をすることもある。
暇潰しに勉強していたら医大に合格してしまったという時には、同級生の恨みをかったものだが。
が、社会に出てしまえば努力の差が云々、などという話題はだいたい隅にやられる。
結果が全てだというこの世知辛い世の中で隼人は順調に全ての課程を過ぎて医師免許を獲得し、地元の医院に勤めるようになっていた。
だが、田舎である為か外来患者の相手と単調な仕事を繰り返すだけというのも退屈で、週に一度は東京の大学病院の非常勤医として出向いている。
優秀な仕事ぶりから、正式にこないかと医局に誘われているものの、地元から離れることは出来ないと断り続けていた。
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