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翌朝、零斗から節子の方に“祭りに参加する”と伝えられるなり、朝食時にはよそよそしくされていたのぞみへの対応が、昼前には明らかに変わっていた。
朝は何となく冷たく一瞥されるだけで終わっていたのに、わざわざのぞみの顔を見に来て挨拶をしていく村人達。
そんなに祭りとは重要なものなのか、と思うとともに、のぞみは深く考えずに辞退しようとしたことを後悔した。
「現金だな、うちの村の連中も」
少し不機嫌そうに漏らしたのは零斗で、彼はブツブツ言いながら母屋の奥の方へとのぞみを案内していた。
「でも、喜んでくれてる気がする。零斗さんの地元の人達に快く受け入れてもらえるのは、嬉しいよ」
「のぞみも、現金だ」
のぞみの言葉に、今度は零斗が照れくさそうに笑う。
のぞみが祭りに参加するには、いくつか手順があるということを零斗が節子から聞いて来た。
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