63人が本棚に入れています
本棚に追加
節子は難しい顔をして、じろじろとのぞみを上から下まで嘗め回すように見つめる。
「のぞみさん、あんた、零斗の嫁っこになるんじゃろ?」
向かい側に座っている節子の甥という男性が、あっけらかんとそう口にする。
「は!? あ、あの、そういう話はまだ……!」
まだも何も、そこまでの話はしていません……とのぞみが俯いて答えると、節子はむっと眉根を寄せた。
「話をしていようとしてなかろうと、零斗が連れて帰ってきたっちゅうのはそういうことだ。どこの誰とも知れんわけの判らぬ遊び女を身内全員に見せびらかすなど、うちの村でそんなお粗末な教育はしておらん。どんな若いもんも、そこは心得ておる」
「そ、そうなんですか……」
「まあ、のぞみさんはまだ学生だ。すぐではないだろうがね」
男性がうんうんと朗らかに頷く。
.
最初のコメントを投稿しよう!