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「ごめん。申し訳ない。本当に、ごめん」
用意された部屋に戻ってきて、零斗は布団の上で両手をつき、のぞみに頭を下げた。
零斗はこの村の主家の嫡男で、のぞみ以上に酒を勧められていたため、途中で潰れてしまったのは仕方のないことかも知れない。
だが、零斗が目を覚ました時にはのぞみは村の住人の好奇の視線に散々苛まれた後だった。
すっかり小さくなって震えているのぞみを見て、零斗は肝を冷やしたが後の祭りだった。
半泣きですっかり機嫌を損ねてしまったのぞみ。彼女と零斗は節子の計らいで同室となっているが、気まずくて仕方がない。
自分の布団の上で正座をし、のぞみはぶすっとしながら零斗の謝罪を黙って聞いていた。
「まさか、そんなことになってるとは思わなかったんだ。七夕にはいつも人形が用意されていて……そんな、生身の女の子にやってもらうなんて、ここのところずっとなかったから」
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