63人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、おばあ様はあたしにって。断ったら今後は歓迎しないって。そんな雰囲気だったもん」
「……本来、そんな話はまず俺を通すものだけど……。俺、こうして夏に帰ってくるだけの長男だからか、あてにされてないから……。だからのぞみに期待したのかも。言い訳に聞こえたら、ごめん」
のぞみは口唇を尖らせながら、きっと零斗を見つめる。
「それもだよ!」
「え?」
「零斗さん、あたしのことどういうつもりでここに連れてきたの?」
「それは……」
「零斗さんがどういうつもりか判らないけど、おばあ様はすっかりそのつもりだったよ! あたしだって、何となくそういうことなのかなって思ったけど。でも、そんなことまず零斗さんの口から聞きたかった!」
まだ酔いの残る零斗は、一瞬泣きそうな表情になった。
が、2・3度頭を左右にふらふらさせると、もう一度のぞみに向かって頭を下げた。
「零斗さん、やめて」
「のぞみに、そんなことを言わせて申し訳なかった」
.
最初のコメントを投稿しよう!