2013年 8月10日 【日嗣のぞみ・2】

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  「……土下座はいいから。そこまでしてもらうことじゃないし」 「いや、俺の気が済まない」 「あたしが見たくないの!」  のぞみが語気を強めると、やがて零斗の方が諦めたようにのろのろと顔を上げる。 「どうしたら、許してくれる……?」  その顔が捨てられた仔犬のようで、怒っていたはずなのにのぞみの胸がキュンと鳴る。これだから、惚れた弱みというやつは。  零斗の顔を見つめたまま何も答えないのぞみ。  彼女を見つめながら、零斗は溜め息をついた。 「……祭りの日に……」 「え?」 「13日の、祭りの日に、言うつもりだったんだ。のぞみには、ちゃんと……」 「……」  完全に、時機が悪かったのだと。  のぞみにも、それくらいは判った。  だが、一度前面に押し出した不機嫌の引っ込め方が判らない。  零斗の前で、こんなに負の感情をあらわにしたのは初めてだった。のぞみは恥ずかしくて俯いてしまう。 .
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