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ボンッと鈍い音がし、あたしの拳は海翔の頬に食い込んだ。スローモーションを見ているみたいに、海翔の顔が一瞬右に弾き飛ぶ。
…が、すぐに海翔は顔を正面に向け、獣みたいにあたしを見据えた。
「あ…あたしは、空が好きなの!海翔じゃないよ!海翔のバカッ!大嫌い!」
「空翔…、お前…やっぱり…。あいつは美生ちゃんが好きなんだよ。諦めろ。俺にしとけ」
「空が…美生ちゃんを…」
「そうだよ。あいつの頭ん中は、美生ちゃんのことしかねーよ。見てわかんだろ?美生ちゃんは優しいし、確かにイイオンナだよな」
海翔はあたしの右手を掴むとグイッと捻った。
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