Cherry 5

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海翔は歌を口ずさみながら、スラスラとペンを走らせる。 話す声と歌う声は全然違うんだ。空翔みたいな甘い声。目を閉じていると、まるで空翔が歌っているみたい。 床にしゃがみ目を閉じて歌を聞いていると、突然ドアが開き、あたしの体はだるまみたいに前に転がる。 「こら、何覗き見してんだよっ!悪趣味だな」 悪趣味?その言葉にあたしはプチッと切れる。 「聴きたくもない音を鳴らすからでしょ」 イーッて歯を剥くと、海翔は体を屈めニョキッと首を出し、顔を近付けた。 「本当は俺に逢いに来たんだろ」
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