俺の知らない彼女

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「ひーろーきっ!今日、予定あるー?」 週が開けての月曜日。 終わりのホームルーム終了後、満面の笑みで話しかけてくるミツに少したじろぐ。 「…………なんで?」 眉間に皺を寄せ、不信感丸出しで聞き返す。 「なんでって。今日、SN戦じゃーん?」 「………………。」 SN戦。 体育会系部活の一大イベント。 俺らのS高と、姉妹高のN高が年に二回お互いの創立記念日に相手の高校に出向いて試合を行うという、俺ら帰宅部には縁もゆかりもない行事。 学校側も、そのためにわざわざ短縮授業にする程、結構力を入れているイベントだ。 「だからなんだ?俺ら関係ねぇじゃん。」 まさか、テニス同好会で参加するとか訳のわからんこと言い出さねぇだろうな。 「いや、都が出るからさー。応援いこー?」 ………………。 とりあえず、同好会絡みじゃなかったことに安堵する。 都ちゃん……。体育会系だったのか。 初めて知った。 「……別にいいけど。何部なの?」 「バスケっ!!」 「………………。」 バスケと聞いて、真っ先に霧島の顔が浮かんでしまう自分がなんか嫌だ。 「霧島ちゃんも誘ってさー?みんなで応援しよー!」 とニタニタ顔のミツ。 今日は、金曜日に俺がテニス蹴って霧島と帰った件について、一日中弄られまくっている。 もちろん、帰宅途中で霧島と妙な雰囲気になったなんて口が裂けても言わねぇが。
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