俺の知らない彼女

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試合もいよいよ後半戦に突入。 霧島の勢いは止まるところを知らない。 乗ってきたっていうか。 さっきよりも俄然動きがよくなってる。 「霧島ちゃん。ほんとにバスケ、好きなんだねー。あんな生き生きしてる霧島ちゃん、初めて見たー。」 「……うん。」 本当に。 すげぇいい顔してる。 心から楽しんでるって顔。 攻め方も、単にゴールするだけじゃない。 思いっきりパスを回していく攻撃をしたかと思えば。 時には、あり得ない位置からシュートしてみたり……。 終始、観客を飽きさせないプレイ。 もう、霧島から一時も目が離せなくて。 気づいたら、開きっぱなしの口が渇いて、からからになっていた。 ふと、目の前に置かれたペットボトルに目がいく。 霧島から預かっているスポーツドリンク。 「………………。」 いや、駄目だろ。 霧島のだし。 ………………。 でも、もうドーナツ屋で同じストローで飲んでるわけだし。 別に、そこまで意識する必要も……って。 あれ? ペットが、ない。 どこいった? 不意に、隣から聴こえてくるゴクゴクと喉を鳴らす音。 ゆっくり音のする方へ顔を捻る。
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