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体育館中にこだまする、女どもの悲鳴。
お、俺。
今……。霧島に。
抱きしめられてる―――っ!?
しかも、こんな大衆と大量の霧島信者の目の前でっ!!
「お、おい!霧島っ!?
やばいって!!」
なにがやばいって。
今の霧島の格好が、正直やばい!
このユニフォーム。首回りやら腕やら……露出高過ぎだろっ!?
心音があり得ないくらい速く響く。
動揺しまくる俺を他所に、俺の耳許まで唇を下ろしてきた霧島が、甘く囁いた。
「オレの試合。ちゃんと見てなかった罰。
今度は、余計なこと考えずにオレのことだけ見てろよ。」
腰が砕けるような台詞を吐いた後、ふぅーっと耳の中に息を吹き込まれる。
「ん、あっ!?」
―――って。
ぎゃーーーーっ!!
変な声出たっ!?
今の俺か?俺なのか!?
キモいっ!キモすぎるっ!!
激しく自己嫌悪に陥る俺から、ようやく体を離す霧島。
顔を上げると、片側の口角を吊り上げ、妖艶に微笑む超美形の悪魔がいた。
呆然と立ち竦む俺の手に、飲みかけのペットボトルを握らせると。
まるで何事もなかったかのようにコート内へ戻って行く。
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