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持たされたペットボトルの重力に任せて、そのままその場にへたりこむ俺。
……Sだ。あいつ。ドSだ。
「ひーろーきー。あっつあつだねー。」
もうミツに突っ込む気力も湧かん。
そして、ただひとつ確実に言えることがある。
それは、もうあの応援席には戻れない、ということだ。
この状況であんな信者の巣窟に入ってみろ。
命がいくつあっても足りんわっ!
「おー!後、1点で追いつくじゃーん!都ーっ!ファイトいっぱーつっ!
ほら、寛貴も霧島ちゃん応援してーっ!」
「……この状況で、できるわけねぇだろ。」
周りから針のごとく突き刺さる視線に加え、時折聞こえる舌打ち及び暴言を身体中に浴びながら。
それでもなお、この場に居座り続ける俺を全力で褒め称えたい。
最終ピリオド。
結局、俺は。
例のごとく、全く空気を読まない男ミツによって、この定ポジションに引きずり戻された。
まぁ、此処を離れたら離れたで、今度は霧島に八つ裂きにされるんだろうけどな。
はぁ、と息を吐き、手のひらで目元を覆うと。
「ほらー。寛貴が応援しないし、霧島ちゃん調子落ちてきたじゃんー。」
思いがけないミツの言葉に、咄嗟に手を避けコート内を見る。
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