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俺の目に映ったのは、膝に手をつき、激しく肩で息を繰り返す明らかに疲弊した霧島。
「あいつ、なんで。急に。」
異変に気づいた都ちゃんが霧島に駆け寄る。
都ちゃんの呼び掛けに頭を振り、無理やり体を起こすとバスケットゴールを睨み付けた。
プレイ続行の強い意志。
顔をしかめながらも必死にボールを追う。
「霧島ちゃん、どうしたんだろー?」
「俺が……知るかよ。」
ふと休憩時間に霧島が漏らした言葉が頭を過る。
『ラストまで体もたないから。』
………………。
ラストまで体もたないって。
どういう意味だ?
そもそも試合出るの、何であんなに拒んだんだ?
胸がざわつく。
バスケも試合も好き、なんだよな?
それでも試合出るの、拒否する理由って……なんだ?
試合の前半は、明らかにセーブしてた。
意図的な体力温存。
それは始めから全力で行ったら、試合終了まで体がもたないって分かってたから。
体が、もたない。
カラダが……。
はっとして顔を上げる。
激しく呼吸を繰り返し、胸の中心を拳で押さえつける霧島の姿に目を見開く。
―――あいつ!
「っ霧島!!もういい!もう抜けろっ!」
衝動的に体を乗り出し、コートに向かって声を張り上げた。
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