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「オレが、自分で決めたことだから。」
……違うよ。
俺が無理矢理、させたんだ。
なんで、庇うんだよ。
なんで。
「安藤。」
「………………。」
ゆっくり顔を上げると目の前に霧島の穏やかな表情。
「大丈夫だから。そんな顔、するな。」
………………。
なんでだよ?
優しくすんなよ。
もっと罵ってよ。
でないと俺……。
「ごめん……。
ごめん。霧島っ。」
―――泣きそうだ。
もう顔を上げていられなくて。
再び俯いた俺の頭に霧島の手が触れる。
一度なめらかに髪の上を滑らせた後、そっと離れていく。
ゆっくり立ち上がり、一ノ瀬を伴ってその場を離れていく足音を聞きながら。
俺はただ瞳に映る歪んだ床を……じっと見つめ続けるしかなかった。
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