2

6/7
1337人が本棚に入れています
本棚に追加
/468ページ
洞窟に戻ると、今まで気にしていなかった卵の後ろの小山が気になった。 何かと土の山…。 手で土を払うと白い骨が出てきた。…人の骨だ。 それは大量にあった。 衣服も装備もそのままで重ねられて放棄されていた。 僕は悪いとは思いつつも、そこを掘り返した。 剣は半分に折れていたりしたものもあったが、刃こぼれしているだけの、まともな物が三振りあった。さすがに服は破れたりぼろぼろで使えそうになかった。 小振りのナイフ、手足の手甲は錆びていたが無事。 ただし、大きくて僕には纏えなさそうだ。 その他に魔導書が10冊ほど。 金貨と銀貨、銅貨が多数。 鎖帷子と騎士っぽい鎧が多数。 魔導の杖が6本。 頭蓋骨12個。 その他の骨多数。 …広間の隅に折れた剣で穴を掘って、骨を埋めた。3日かかった。 剣を振るって鍛錬する事にした。 いつ魔物に会うか分からない状況に住んでいるし。 魔導書も何とか解読しようと試みる。 体力をつけながらやろう。 やっと生きる意味を見つけた。 僕は貪るように知識を求め、鍛錬を続けた。 お墓の近くの壁に毎日一つ、傷をつけてカレンダー代わりにした。 あっという間に月日は過ぎてゆく。 ふと傷を数えてみると、半年が過ぎていた。 月日が変わるのが体感出来て嬉しい。 魔獣の鳴き声は聞こえるけれど、あの川にすら姿を現さない。 もちろんこの場所には森の動物すら、姿を見せない。 僕の呪いのせいなのか、それともこの卵のせいなのか。 魔導書は何故か初級編が一冊あったおかげで、読み進むことが出来た。 きっと成りたての魔導士が居たのだろう。 この中で魔導の練習をするのは少し心苦しかったが、広間の端で練習していた。 外でしたら魔物に気づかれそうだし。 もう少しで冬が来る。 さすがに此処で冬は過ごせなさそうだ。 僕は一大決心をする。 町に行ってみよう。 ここから一番近い町は、国を越えて降りることになる。 僕は生まれた国に決別を告げる。 さようなら姉さん。 どうかお元気で。 初級の魔導に空間支配があった。 便利なもので、旅人はたいがい使うと書いてある。 イメージは自分の考えやすいもの。 僕はこれかな。 「展開、クローゼット。」 両開きの扉が目の前に現れる。 そこに広間の捨ててあった装備や何もかもを全部入れ込む。
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!