ファンタジー

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小首を傾げた彼女は何かを考えるような顔をしていた。 俺は勇気を出して現状を説明することにした。 「えっえと、今俺は遭難してるんだ。自分がどこに居て、どこに向かえば家に帰れるかもわからないんだ。もう一日ちょっとここを歩いてる気がする」 必死の訴え。彼女は腕を胸の前で組んででんと構えた。 「遭難? あなた今遭難してるの?」 「そうなんです!」 「……」 無言。つまらない冗談を言ってしまう俺の悪い癖に対する彼女の冷たい視線。 「だがそれがいい!」 「あなた頭がおかしいのかしら?」 「すいませんっしたぁ!」 ここから会話が本題に入った。 まずどこからきたのか。日本の東京と言っておいた。 周りの風景からして日本ではないかもしれないと多少なりとも思っていたが、彼女の返答は予想よりも少し驚きを禁じ得ないものだった。
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