二章 あまりにも理不尽なトリップ!

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「いやあああああああああああああ――――っ!!」 お父さん、お母さん。 後立つ不幸をお許し下さいあああああああああああああああ――っ!! 怖いっ!! 「怖い怖い高い――っ!!」 「ちょ!? ちょちょちょっと、危ないから暴れないで下さいっ! 本気で落っことしちゃいますよ!?」 そんな文句はそっちのけ。年甲斐もなくお姫様だっこなんかされたまま、ミシエルの胸をガンガン叩く。 けれど、私を抱える彼の腕はびくともしない。 それどころか、背中の羽根が増々力強く空を打ち、私たちの身体は空の高みを目指して急激に上昇していく。 ついさっきまでいたはずのアパートは、もう豆っ粒みたいだし。 住宅地も、街も、まるで携帯で見る地図アプリのように縮小されていく―― うひょわあああああっ!! 高い高い高い怖い嫌ああああ――っ!! ……え、もしかして、あの円く綺麗に雪を被った山は、富士山? 「ダメ――ッ!! わわわ私、ここ高所恐怖症なんですっ!!高いところはまるでダメなの――っ!!」
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