二章 あまりにも理不尽なトリップ!

5/25
前へ
/232ページ
次へ
「う……っ! だ、騙されませんよ、そんな裏のありそうな甘い笑顔に――きゃあああああああああああああああっ!?」 ミシエルが大きく翼を打つ。 周囲の空さえ飲みこんでしまいそうな渦の中心に、私たちの身体はあっという間に吸いこまれてしまった。 途端、視界は真っ白に、体中の毛という毛が総立ちになるくらいの、凄まじい上場気流に包まれる。 叫び声を上げることすら忘れて、私はぎゅっと瞼を閉じ、ミシエルのジャケットにしがみついた。 三半規管はとっくに麻痺している。おかげで、高く高く昇っているはずが、すごい勢いで下降しているようにも感じられる。 ――あれ? 違う、これ、本当に落っこちてるんじゃないだろうか。 「……どうなってるの」 風と耳鳴りが収まるのを待って、恐る恐る目を開いてみると。 「なにこれ!?」
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加