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「う……っ! だ、騙されませんよ、そんな裏のありそうな甘い笑顔に――きゃあああああああああああああああっ!?」
ミシエルが大きく翼を打つ。
周囲の空さえ飲みこんでしまいそうな渦の中心に、私たちの身体はあっという間に吸いこまれてしまった。
途端、視界は真っ白に、体中の毛という毛が総立ちになるくらいの、凄まじい上場気流に包まれる。
叫び声を上げることすら忘れて、私はぎゅっと瞼を閉じ、ミシエルのジャケットにしがみついた。
三半規管はとっくに麻痺している。おかげで、高く高く昇っているはずが、すごい勢いで下降しているようにも感じられる。
――あれ?
違う、これ、本当に落っこちてるんじゃないだろうか。
「……どうなってるの」
風と耳鳴りが収まるのを待って、恐る恐る目を開いてみると。
「なにこれ!?」
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