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「私! 実は、とっくに死んじゃってたりとか、もうすぐ死んじゃう予定だからお迎えに来ましたー、とか、そういうのではないんですよね!?」
「あはは、違いますよ-!」
「本当ですか……? 朝っぱらから、巨大な、わ、わらびもちみたいな生き物が布団の上に乗ってるのが見えちゃったりとか、あまつさえ、たった今もそいつが部屋の中で暴れているせいで、こうして廊下に閉め出されて困ったりしてるのは、あの世に片足突っこんでるからってわけじゃないんですねっ!?」
「ええ、違います。それについては安心して頂いて大丈夫です」
ガンガンドンドンッ!!
うわあ、また暴れ出した!
もういい加減、抑えてるドアも背中も壊れそうなんだけど……!!
蓬莱海月、二十二歳。
只今、部屋の中で暴れまわる謎の生命体と格闘中。
そいつがなんとかして外に出ようとドアに体当たりをするせいで、私は足をふんばり手をつっぱり、アパートの玄関扉を全力で食い止めていなければならないのであります!!
そんなこんなで、水玉模様のパジャマ姿のまま、裸足にスニーカーをつっかけて、かれこれ一時間近く部屋を閉めだされている。
激しい攻防は今もなお続いており、事態は未だ収拾のつく目処はない。
全身汗まみれの私を前に、ミシエルは大興奮で「おお、ファイトです! ここがまさしく正念場ですよ、ホウライミツキさん!! フレーフレー!!」……などと、一生懸命なんだか、間が抜けているんだか、よく分からない応援をしている。
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