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☆☆☆
盆明け後から、多忙な毎日が続いた。
来月から異動となる経理部との往復。
そして第二営業部で仕事をする派遣の彼女達に、私の仕事の引き継ぎ。
「こんなことまで、お一人でやってたんですか?」
という彼女達の驚きの声を聞き、
纏めてみると意外に膨大な仕事量だったことに改めて気づいた。
いつの間にか、
第二営業部で鍛えられていた事務スキルを、彼女達3人に伝授する。
マイマニュアルもそのまま渡し、
一通りの引継ぎが終ったのは、
部署異動する、3日前だった。
そして、夏が終る。
今年も、海にも山にも行かなかった.....。
「最後...…か」
月曜日には、
私もこの席を離れる。
.........。
ああ!!
無性に、このデスクが愛おしくなってきたぁ~!!!
思わずスリスリ頬ずり、ちぅ~。
私の左隣のデスクは、既に綺麗に片付けられていて、
ホワイトボードには、
長い線が引かれて彼が月末まで戻らないことを告げている。
つまり、
もう、
彼はデスクに戻って来ることは無いってこと...。
私の席から小栗の横顔を眺める事も、
肩を付き合わせて、書類と睨めっこする事も、
私の仕事に、手を差し伸べてくれる事も.......
もう.......無いんだ。
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