kiss20 - 一万回の想い -

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kiss20 - 一万回の想い - ☆☆☆ レーナが私の言葉を、簡潔に纏めた。 「つまり、告白されてたのに、 他の女とお似合いだとか言っちゃったわけ?」 「それは....怒るよね」 と、モリリンが、激しく頷いた。 「そーいうの知らなかったし、 小栗の質問が、CD聴いた? だったからさ、 告白観た? だったら、全然、答え違ったのに.....…」 焼き鳥屋での、小栗の行動を非難する。 「嘘ついたアンタも悪いでしょ! CD聴いてもないのに、聴いた振りして。 さらには、別の女と付き合っとけ!  なんてさ、 失礼にも程があるんじゃない?」 レーナの指摘に、返す言葉も無い。 「面目無いです....」 しょぼしょぼと漏らして、二人の視線から逃げた。 「やっぱ彼って、草食男子だったか....」 初代、分析官モリリンが呟いた。 其の言葉に食いつく。 「え、小栗のこと言ってんの?」 「そうよ、なーんで、面と向かって告白しないの? むしろメールで告白したほうが確実なのに、 何その、超危険な時限爆弾。 一生知らないで、生涯終ってたらどうすんの??」 たしかにそうだ。 小栗の作成動画は、時限爆弾である。 ファイルを開かずに、 一生独身を過ごす自分のラストシーンを妄想し、涙が零れ落ちた。 「そもそも、こんな遠まわしすぎる告白する男子は、お断りよね。舞~ちゃん」 と、 レーナがばっさりと小栗を切り捨てた。 「メールでも何でもいいから、 ちゃんと私が気づく告白して欲しかった」 小栗の気持ちを知っていれば、全く違う、二人だったはず。 片想いなんだって、 キスフレでしかないんだって、 自分を押さえ込むことも、小栗のキスを疑う事も、無かったのに...。 「こんな、面倒な事したのはさ、 アンタが恋愛に踏み出せないほど傷ついてたって、気づいてたんじゃない? どんなに時間がかかってもいいから、 自分の殻から抜け出せ、ってコイツは言ってるのよ。 人を愛するコトが恐かったあんたを、 穴倉から引き摺り出そうとしても、根本的解決にならないから、 前に一歩踏み出せって、言ってんのよ」 「一歩....…」 小栗は以前、 『一歩前に出てみる?』 って地下鉄のホームで言った。 『前に進めよ』 このUSBをくれた給湯室でも、 『佐藤の絆創膏は俺が持ってるから』 って、 何度も、何度も、背中押してくれた。 そして今朝の、別れ際、 『待ってる』 って、言葉。 あれは.......。
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