kiss19 -笑顔の仮面- 後半

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「おい...…、嘘だろ??」 静かなのはマンションの中だけだ。 一歩外に出れば、アスファルトを激しく叩く横殴りの雨が全身を襲う。 案の定、一歩外に出ただけで、 着ていたトレーナーは、雨を吸い重量を増した。 重い衣服に体の自由が奪われ、 頭頂部を叩く雨は、次第に強くなっていく。 「東野さん!!!」 思い切り叫んだ。 しかし、豪雨の中では、声は雨の壁で完全に遮断され、意味を成してない。 「東野!!!」 それでも俺は叫んで、 そう遠くない場所にいるはずの彼女を探した。 嵐がもたらした小川が、 平坦な道の上でとぐろを巻き、所狭しに、深い池を作り出していた。 青白い蛍光灯の明かりと、 立ち並ぶオフィスビルの棟は、 殆ど深夜にかけては無人になってしまい、車通りも無い。 特に今夜は、この嵐の中を通過する車も無くて、 この世界には、 俺しか人間がいないのではないかと思えるほどに、 異質な空気を放っていた。 激しく降り注ぐ雨で視界が殆ど遮られている中、 彼女の名を呼び続ける。
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