kiss20 - 一万回の想い -

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---------------------------------------- 「佐藤って、小栗の家に居るの?」 と、3年年上の杉田が質問してきた。 「ああ、まあね」 「刑事ドラマみたいだよな。 犯人逃亡中で、佐藤が、唯一の事件目撃証人。 また、口封じにいつ狙われるか判らないんだろ? どう? お姫様を守るナイト役は?」 何処と無く嬉しそうに、事件を杉田は語る。 「偽善的正義感と、本能的欲望との葛藤でくたくた」 きょとんとした表情を向けて、 すぐさま会話の揶揄に気づき、顔をにやけさせた。 「ああ、佐藤可愛いしね。それは大変だなぁ~」 杉田は、ふふっと笑って、俺の肩をバシバシ叩いた。 つい先日、佐藤は、好みじゃないと言ったくせに、もう意見を変えている。 ほんっとに、適当な奴だな....。 俺はというと、 佐藤との二人きりの部屋に心臓バクバクしっぱなしで、 睡眠不足の毎日を送っている。 ただでさえ資料作りに忙しいというのに、 アイツが動くたびに反応して、 集中なんか出来なくて、いつも以上に作業に時間がかかってる。 しかも、いつ鳴り出すか判らない電話が気になって、 ゆっくり風呂になど浸かっている暇など無かった。 幸せ半面、我慢は半端ない。 「大変ならさ、佐藤のこと、俺が面倒みようか?」 「別に大変じゃないから」 杉田の言葉に瞬殺で反論する。 なんでコイツがしゃしゃり出てくる?? 「でもさ、小栗って、週末出張入ってたよね。 俺の担当、都内近辺だし。出張無いからさ、 俺なら、佐藤のそばにずっといられるよね」 杉田がにっこりと、俺に微笑みかけた。 「........」 --------- 「出張行かないことにしたから」 「え? なんで小栗が出張キャンセルしてるの??」 佐藤は、眉を寄せて俺の様子を疑った。 杉田が引き受けるとか言ったら、 多分こいつは、 「うん! 杉田君とこでお世話になる! 小栗今までありがトー」 とか言って、さっさと退散すんだろうな。 お前のノー天気な頭ほど、 杉田は純粋な親切心だけで 物事引き受けるオトコじゃないって、気づいてないし....。 「そうだなぁ。神田さん所にでも頼み込むか....…」 途端に青ざめる佐藤。 そう簡単に、佐藤を手放せるわけないだろーが、 バアーーーカ!
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