kiss20 - 一万回の想い -

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佐藤と一緒に暮らして、 スケジュールをどうにか調整して、 気づくと本気で仕事が山になっていた。 家に戻っても、 あいつと話をすることもままならないまま、 あっという間に、一日が過ぎていく。 タイムリミットが在る中で、ほんの少しだけ佐藤に触れて、 自分の自制心が 徐々に強靭に作り上げられていくのを感じながらも、 このまま、いい距離を保って過ごすほか無いのか、 それとも、佐藤の気持ちが変わるのを待つ前に、 再度、其の先へと進むアクションを起こすべきなのか、悶々と悩む。 そして悶々と悩んでる俺の前に、 悩ましげな寝息を立てて、俺が寝るはずのベッドにあいつがいた。 ....…、何考えてんの? 佐藤の考えてることなんか、いくら考えても理解出来ない。 考えるだけ無駄なので、 とにかく、今夜は横になることを先決にした。 ところが、アイツは俺の前を走っていった。 そして、ベッドにスライディングする。 ちょっと待て、俺に、寝るなって言ってんの??? 「一体、お前、何してんの??」 思わず怒鳴った自分の苛立った口調の強さに、思いっきり後悔。 「何って....、話しようと想って」 佐藤はそういって笑ったが、 深夜に何を話す? 話っていうのは、いわゆる建前上の理由で、 ホントは、別のトークだったり.......。 半径3M以内接見禁止を保持してきたのに、 佐藤はベッドの端に突っ立ってる俺に向き直り、 正座して、俺を見上げた。 佐藤の着るUネックの隙間から、はっきりと胸の谷間が覗けた。 (....ノーブラ......) 超危険な佐藤から、少し離れた位置に腰掛ける。 その間も佐藤は、 俺の様子なんかお構いなしに、文句を撒くし立てている。 今までの俺の態度、 ぜーんぶアイツは不満だったらしい。 二人暮らしの醍醐味を佐藤は、語ったが、 そんな醍醐味味わったら、100%佐藤に嫌われることする。 それはもうお墨付き。 「東野さんとのことでしょ?」 と、佐藤は言った。 マジで、コイツの勘は鋭い。 だが的外れでもある。 彼女の名前が出る度、ビビッてる理由は、全く別のところにある。 もし...…、今、全てを話したら佐藤はどう思う? それでもお前が好きだと言っても、 俺を受け容れてくれる? 「佐藤。俺の話........、聞いてくれる?」
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